最初の3分でやること
事故が起きた直後は、頭が真っ白になります。だから順番を体で覚えておいてください。
- 負傷者の救護。 これが最優先です。相手や同乗者にケガがあれば、救急車を呼びます。動かすと悪化する可能性がある場合は、無理に動かさないでください。
- 危険防止の措置。 ハザードランプを点け、可能なら車を安全な場所へ移動させます。移動できない場合は三角表示板や発炎筒を使い、後続車に知らせます。自分自身も安全な位置へ避難してください。
- 警察へ連絡する。 110番します。相手が「警察は呼ばなくていい」と言っても、必ず呼びます。
この3つは道路交通法上の義務です。特に警察への報告を怠ると、報告義務違反となります。
「傷が小さいから」「急いでいるから」「相手がその場で払うと言ったから」。どんな理由があっても呼んでください。警察を呼ばないと交通事故証明書が発行されず、保険が使えなくなる可能性があります。後から相手が主張を変えた時、何も証明できなくなります。
次にやること
- 保険会社へ連絡する。 事故受付の番号は、スマホの連絡先と、紙にも書いて車内に置いておいてください。
- 元請け・会社へ連絡する。 荷物をどうするか、その日の配送をどう引き継ぐかの判断が必要です。
- 現場を記録する。 詳細は次の章に書きます。
現場で必ず記録すること
後から効いてくるのは、その場の記録です。落ち着いて、次を残してください。
- 相手の情報。 氏名、住所、電話番号、車のナンバー、車種、加入している保険会社と証券番号。免許証と車検証を写真に撮らせてもらうのが確実です。
- 現場の写真。 車両の損傷箇所を複数の角度から。両方の車の位置関係が分かる引きの写真。道路の状況、信号、標識、路面。ブレーキ痕。
- 目撃者。 見ていた人がいれば、連絡先を聞いておきます。過失割合で揉めた時に、これが決定的になることがあります。
- 時刻と天候。 何時何分に、どんな天候と明るさだったか。
- ドライブレコーダーの映像。 上書きされないよう、その日のうちにデータを保存してください。
絶対にやってはいけない3つ
その場で示談しない
金額を決めて現金を渡す、受け取る。これをやると後から覆せません。損害の全容はその場では分かりません。
過失を認めない
「私が悪かったです」と言わないでください。過失割合は保険会社と警察が事実に基づいて判断します。動揺して認めた一言が不利に働きます。
立ち去らない
接触に気づいて立ち去れば、ひき逃げ・当て逃げになります。人生が変わります。軽い接触でも必ず止まって確認してください。
謝罪の気持ちを示すこと自体は人として自然です。ただし「申し訳ありません」と「私の過失です」は意味が違います。相手の身を案じる言葉と、責任を認める言葉を区別してください。
積んでいる荷物をどうするか
ここが軽貨物特有の論点です。車には他人の荷物が積まれています。これはあなたの財産ではありません。
自己判断で処分したり、その辺に置いたり、勝手に他の車へ移したりしないでください。元請けに連絡し、指示を仰ぎます。別のドライバーが引き取りに来るのか、営業所へ返すのか、判断は荷主側にあります。
車が動かない場合、荷物を積んだままレッカーされることもあります。その場合も、荷物の所在を必ず報告してください。荷物の所在が分からなくなることが、最も避けるべき事態です。
人身事故になった場合
相手にケガがある場合、手続きが変わります。
警察による実況見分が行われ、後日、事情聴取を受けることがあります。人身事故として処理されると、行政上の処分(免許の点数、場合によっては免許停止)と、刑事上の責任を問われる可能性が生じます。
この段階では、自分だけで判断せず、保険会社の担当者と相談してください。弁護士費用特約に加入していれば、弁護士に相談することもできます。
事故直後は興奮していて痛みを感じないことがあります。自分にも相手にも当てはまります。少しでも違和感があれば、その日のうちに病院へ行ってください。数日後に受診すると、事故との因果関係を認めてもらいにくくなります。
事故の後に何が起きるか
正直に書きます。事故を起こすと、その日の売上を失うだけでは終わりません。
- 車両の修理期間、稼働が止まる。 代車がなければ、その日数分の収入がゼロになります。
- 保険の等級が下がる。 翌年以降の保険料が上がります。影響は数年続きます。
- 元請けからの評価が下がる。 事故が重なると、案件を外されることがあります。
- 免許の点数が付く。 累積すれば免許停止となり、仕事そのものができなくなります。
だからこそ、日々の安全運転が最も確実な収入対策です。急いで1件多く配ることより、無事故で1年走り切ることのほうが、金額として圧倒的に大きい。
今日、車の中に準備しておくもの
事故は準備している人としていない人で、その後の展開が変わります。
- 保険会社の事故受付番号(紙に書いて車内へ)
- 元請け・会社の緊急連絡先(同上)
- 三角表示板、発炎筒
- ドライブレコーダー(前後があると理想的)
- この記事の手順をメモした紙
スマホの電池が切れている、画面が割れている。そういう状況でも動けるように、紙で持っておいてください。
事故防止の取り組みや統計については、警察庁や全日本トラック協会が情報を公開しています。制度や手続きは変わることがあるため、最新の情報を確認してください。