世田谷の構造
世田谷区は東京23区の中でも人口が非常に多い区です。都心部のような高層ビル街ではなく、戸建て住宅と低層のマンション・アパートが広く混在する住宅地です。
この構造が、配達に独特の性格を与えます。
荷物の密度は高い。狭い範囲に多くの世帯があるため、移動距離は短くて済みます。しかし、車で家の前まで行けないことが多い。だから車を停めて、歩いて、戻る。この繰り返しになります。
私道と行き止まり
世田谷で最初に苦労するのがここです。
区内には、幅の狭い私道や、地図上では通り抜けられそうに見えて実際は行き止まりという道が数多くあります。ナビの指示に従って進むと、Uターンできない細道の奥で詰まる。この経験を、誰もが最初の1週間で味わいます。
軽バンでも入れない道があります。入れたとしても、対向車が来たらどちらかがバックすることになります。
対策は1つしかありません。入ってはいけない道を記録することです。一度失敗した道は、必ずメモしてください。この蓄積が、3ヶ月後のあなたの武器になります。
細い道に入る前に、その先で転回できるか、通り抜けられるかを確認する癖をつけてください。5秒の確認が、10分の立ち往生を防ぎます。迷ったら入らず、手前に停めて歩く。これが正解です。
坂道が多い
世田谷は台地と谷が入り組んだ地形で、坂が多い区です。等々力渓谷周辺をはじめ、高低差のある場所が各所にあります。
坂の影響は2つあります。1つは体力です。台車を押して坂を上がる作業は、平坦地とは負荷がまったく違います。もう1つは駐車です。傾斜のある場所に停める際は、サイドブレーキとギアの確認を確実にしてください。荷物を持って離れている間に車が動くと、重大な事故になります。
停める場所の確保が最大の課題
世田谷で件数を左右するのは、駐車位置の判断です。
まとめ配りが前提
1件ごとに停め直していては回りません。1ヶ所に停めて、徒歩圏の複数軒をまとめて配る組み立てにします。
停車位置を先に決める
ブロックごとに「ここに停める」を事前に決めておく。その場で探すと時間を失い、悪い場所を選びます。
コインパーキングも選択肢
住宅地の中に点在しています。数百円で安心して回れるなら、十分に合理的な投資です。
世田谷は住民の目が厳しいエリアでもあります。通行の妨げになる停め方をすると、すぐに苦情が入ります。停める場所の選択は、効率だけでなく、そのエリアで長く働けるかどうかの問題です。
幹線道路の混雑
世田谷を横断する主要道路として、環七通り、環八通り、国道246号があります。これらは慢性的に混雑します。
重要なのは、幹線道路の使い方です。長距離の移動には使いますが、隣のブロックへ移る程度なら生活道路のほうが速いことがあります。特に朝夕は、幹線に出た瞬間に動かなくなることがあります。
幹線を渡る必要がある場合は、渡れる交差点や横断できる地点の位置を把握しておいてください。ブロック分けの際は、幹線道路を境界にするのが基本です。
東急沿線の商店街
三軒茶屋、下北沢、二子玉川、成城学園前といった駅の周辺には、商店街や商業施設があります。
これらのエリアは、歩行者が非常に多い。特に週末の日中は、自転車と歩行者で道が埋まります。速度を落とし、車を降りる際も後方の自転車に注意してください。
また、商店街への配送は時間帯の制限があることがあります。歩行者天国の時間帯や、車両進入禁止の規制を確認してください。
隣接エリアへの広がり
世田谷を担当すると、周辺区市にも接続します。東は目黒区と渋谷区、北は杉並区、西は調布市と狛江市、南は川崎市方面です。
目黒・渋谷方面へ行くほど、マンションの比率が上がり、オートロックへの対応が増えます。調布・狛江方面へ出ると、やや住宅の密度が下がります。
案件を受ける際は、担当エリアがどこまでを含むのかを具体的に確認してください。「世田谷区」と一言でいっても、北部と南西部では性格がかなり違います。
世田谷の配達は、走行距離の割に歩数が伸びます。靴は本当に重要です。滑りにくく、歩きやすく、脱ぎ履きしやすいものを選んでください。安い靴で1ヶ月回ると、足を痛めます。
世田谷で稼ぐには
結論を書きます。世田谷は、地理を覚えた人が圧倒的に有利なエリアです。
荷物の密度が高いので、道と建物を覚えれば件数は伸びます。逆に、覚えるまでは私道と行き止まりに阻まれて件数が伸びません。この差が、他の地域より極端に大きい。
最初の1ヶ月は件数が伸びない前提で入ってください。そして、入れない道、停められる場所、建物の入口を毎日記録してください。3ヶ月続ければ、同じエリアの新人が半日かかる区画を、あなたは2時間で回れるようになります。
なお、交通量と歩行者が多い環境では、安全確認の徹底が最優先です。効率を追う前に、事故を起こさない運転を固めてください。