走行距離だけで判断しない
「軽自動車は10万kmが寿命」という話をよく聞きます。現在の軽バンでは、これは正しくありません。適切に整備されていれば、15万km以上走っている個体は普通にあります。
逆に、オイル交換を怠り、警告灯を無視し、異音を放置してきた車は、5万kmでもエンジンやミッションに問題を抱えています。距離は目安のひとつにすぎません。
特に軽貨物の中古車では、距離が伸びていても高速道路中心で使われた個体は、状態が良いことがあります。逆に距離が短くても、短距離の発進停止を繰り返した個体は消耗が進んでいます。
最重要:整備記録簿があるか
これが最大の判断材料です。整備記録簿(メンテナンスノート)には、いつ何を交換したかが残っています。
記録簿を見れば、オイル交換の間隔、タイミングベルトやチェーンの状態、大きな修理の履歴が分かります。この情報の価値は、走行距離の数字とは比較になりません。
記録簿がない車は買わないでください。「紛失した」と言われることがありますが、それは前オーナーが管理していなかったということでもあります。安くても手を出さないのが正解です。
リース落ちや法人使用の軽バンは、走行距離が伸びている代わりに定期点検が確実に行われていることが多い。記録簿もしっかり残っています。距離を理由に安く出ていることがあり、狙い目になります。
現車で必ず見る7ヶ所
- 下回りのサビ。 しゃがんで、車の下を覗いてください。融雪剤を使う地域や海沿いで使われた車は、フレームやマフラーのサビが進んでいることがあります。表面の軽いサビは許容範囲ですが、穴が空いている、剥がれ落ちるようなサビは致命的です。
- スライドドアのレールとローラー。 宅配では1日に何百回も開閉します。開け閉めして、引っかかりや異音がないか確認してください。ここが傷んでいると修理費がかさみます。
- タイヤ4本。 溝の残りと、偏摩耗の有無を見ます。片減りしている場合、アライメントが狂っているか、足回りに問題があります。4本交換すると数万円かかるので、価格交渉の材料にもなります。
- エンジンの音。 冷えた状態から始動してもらってください。カラカラという金属音、始動後しばらく続く異音は要注意です。暖まった後だけ聞かせようとする売り手には注意してください。
- バッテリーの状態。 製造年月を確認します。3年以上経っていれば、近いうちに交換が必要です。
- リアヒーターの有無と動作。 荷室側の暖房です。寒冷地では窓の曇りを防ぐために効きます。
- 荷室の床と壁。 深い凹みや穴は、重い荷物を無理に積んできた証拠です。前オーナーの扱い方が分かります。
修復歴の扱い
修復歴とは、車の骨格部分を修理した履歴のことです。表示は義務づけられているので、必ず確認してください。
軽い接触で外板を交換しただけなら、実務上は問題ないことが多い。しかし骨格の修正が入っている車は、まっすぐ走らない、タイヤが偏摩耗する、雨漏りするといった問題が後から出ることがあります。安く出ていても避けるのが無難です。
予算別の狙い方
30万円以下
年式が古いか距離が伸びた個体が中心。記録簿の有無で当たり外れが大きく分かれます。整備予算を別に20万円は確保してください。
50万円前後
最も現実的な価格帯。走行10万km前後で状態の良い個体が狙えます。ここから始める人が多い。
80万円以上
年式が新しく、装備も充実。当面の修理費が読みやすい。長く使う前提なら、結果的に安くつくこともあります。
買った直後にやる整備
納車されたら、まず一通り交換して「自分の基準」を作ってください。前オーナーがいつ何をやったか分からない状態のまま走り続けるのが、最も危険です。
- エンジンオイルとオイルエレメント
- エアクリーナーエレメント
- 冷却水(量と劣化の確認、必要なら交換)
- ブレーキフルードとブレーキパッドの残量確認
- ワイパーゴム
- タイヤの空気圧(適正値に調整)
費用は2万円から4万円程度です。この初期投資をケチると、稼働中の故障という最も高い形で返ってきます。
名義変更と黒ナンバー化の順番
手続きの順番を間違えないでください。まず車を自分の名義にしてから、事業用ナンバーへの変更手続きに進みます。
販売店によっては名義変更を代行してくれます。その際、黒ナンバーにする予定であることを最初に伝えてください。段取りが変わることがあります。
なお、購入と同時に任意保険を事業用の契約にしておく必要があります。納車日に保険が有効になっているよう、事前に手配してください。
相場より極端に安い個体には、必ず理由があります。修復歴、サビ、記録簿なし、大きな修理が近い。理由が説明でき、その分の整備予算を持っているなら買っていい。理由が分からないまま安さだけで選ぶと、確実に高くつきます。
中古車選びで最も確実なのは、購入前に整備工場で点検してもらうことです。数千円から1万円程度で、素人には見えない部分を見てくれます。50万円の買い物にその費用を惜しむ理由はありません。車検や整備の制度については、軽自動車検査協会の情報も確認してください。