壊れやすい部位と、その原因

軽貨物で体を痛める人の多くは、同じ場所を同じ理由で痛めます。

最も多い。原因は重い荷物より、中腰の姿勢での反復と、体をひねりながらの持ち上げです。

階段の上り下り、車からの飛び降り。特に降りる時の着地が膝を削ります。

肩・首

片手で荷物を持ち続ける、長時間の同一姿勢での運転。左右のバランスの崩れが慢性化を招きます。

腰を守る動作

腰痛は、正しい動作で明確に減らせます。

  1. 膝を曲げて持ち上げる。 腰から曲げるのではなく、しゃがんで、脚の力で立ち上がります。基本中の基本ですが、急いでいると必ず崩れます。
  2. 荷物を体に近づける。 体から離れた位置で持つと、腰への負荷が何倍にもなります。抱え込むように持ってください。
  3. ひねらない。 荷物を持ったまま体をひねって置く動作が、最も腰を痛めます。足を動かして体ごと向きを変えてください。
  4. 荷室の奥の荷物は、乗り込んで取る。 中腰で手を伸ばして引っ張るのが、腰に最悪の動作です。
  5. 迷ったら台車を使う。 台車を出す30秒を惜しんで腰を痛めれば、失うのは数週間です。
飛び降りない

軽バンの運転席から飛び降りる動作を、1日300回。この着地の衝撃が膝と腰に蓄積します。若いうちは何ともなくても、数年後に効いてきます。面倒でも、足をついて降りる習慣をつけてください。

シートポジションを整える

1日の半分近くを座って過ごすのだから、シートの設定は重要です。

  • 背もたれは立て気味に。 深く倒すと腰が浮き、腰椎に負担がかかります。
  • 膝が軽く曲がる位置に。 ペダルを踏み込んだ時に脚が伸びきらない距離にします。
  • ハンドルに腕が伸びきらない距離。 肘に余裕がある位置が正解です。
  • 腰当てを使う。 軽バンのシートは腰のサポートが弱い車種があります。市販のランバーサポートを1つ入れるだけで、1日の終わりの疲労が変わります。

費用は数千円です。腰を痛めて1週間休めば、その何倍もの収入を失います。

靴を軽視しない

1日に何百回も乗り降りし、階段を上がり、走るように歩く。靴は消耗品であり、同時に最も重要な装備です。

選ぶ基準は3つです。滑りにくいソール(雨の日のマンション共用部は本当に滑ります)、足首が安定すること、脱ぎ履きが速いこと。

すり減った靴を履き続けると、着地の衝撃が直接膝に伝わります。ソールが減ったら交換してください。これも設備投資です。

水分・食事・睡眠の実務

精神論ではなく、現場で回せる方法を書きます。

  • 水分は前日の夜に用意する。 車に積んでおけば、買いに行く時間が省けます。夏は凍らせたものを1本入れておくと、午後に効きます。
  • 朝食を抜かない。 抜くと午前中に集中力が落ち、それが誤配と事故につながります。
  • 昼食は10分でも座って食べる。 立ったまま、運転しながらは避けてください。消化にも姿勢にも悪い。
  • 睡眠は6時間を下限にする。 睡眠不足の運転は、判断力を明確に落とします。稼ぐために削っていいものではありません。
疲労は事故に直結します

体のケアは、健康の話であると同時に安全の話です。疲れている時、人は確認を省きます。省いた確認が事故になります。体を休めることは、収入を守る行為そのものです。

働けなくなった時、収入はゼロになる

ここが最も重要な部分です。

会社員が病気で休んだ場合、健康保険から傷病手当金が支給されます。しかし国民健康保険には、原則としてこの制度がありません。個人事業主が腰を痛めて1ヶ月休めば、その1ヶ月の収入はゼロです。

しかも、車両リース料、保険料、駐車場代といった固定費は、稼働がゼロでも出ていきます。つまり収入ゼロではなく、赤字になります。

この構造を理解したうえで、次の備えを検討してください。

  1. 所得補償保険。 病気やケガで働けなくなった期間の収入を補償する保険です。個人事業主にとって、傷病手当金の代わりになります。
  2. 生活費の備え。 最低でも3ヶ月分。これがあれば、無理をして働き続けて悪化させるという最悪の選択を避けられます。
  3. 労災保険の特別加入。 一定の要件のもとで、個人事業主でも労災保険に特別加入できる制度があります。加入の可否や手続きは、条件を確認してください。

健康診断は自分で受ける

会社員時代は、会社が健康診断を用意してくれていました。個人事業主には、誰も用意してくれません。

年に1回は自分で受けてください。市区町村の健診や、人間ドックを利用できます。血圧、血糖値、視力。運転中に体調が急変するリスクを事前に減らすことは、自分だけでなく他人の命を守ることでもあります。

なお、国民年金には障害年金という制度があります。保険料を納めている(または免除の手続きをしている)ことが受給の要件に関わるため、未納のまま放置しないでください。詳細は日本年金機構の情報で確認できます。

痛みが出たら早く行く

「そのうち治る」で放置した腰痛が、慢性化して数ヶ月休むことになる。この流れが最も多い。

痛みが3日続いたら整形外科へ行ってください。1日休んで診てもらうほうが、悪化して1ヶ月休むより圧倒的に安い。

この計算ができる人が、10年続けられるドライバーになります。