副業で成立する案件、しない案件
まず、どの案件なら副業として回るのかを整理します。
成立する:スポット便
単発の依頼を受ける形。自分の空いている日だけ受けられます。副業として最も相性が良い。
成立する:曜日固定
毎週土曜だけ、日曜だけといった定期案件。収入が読め、生活リズムも組みやすい。
成立しない:毎日固定ルート
平日毎日同じエリアを担当する宅配。休むと配車に穴が空くため、副業では引き受けられません。
加えて、企業向けの土日便や、繁忙期だけの応援も副業と相性が良い形です。特に11月から12月は人手が足りなくなるため、この時期だけ稼働するという働き方もあります。
本業の就業規則を必ず確認する
最初にやるべきことです。就業規則に副業に関する定めがあるかを確認してください。
近年は副業を認める企業が増えていますが、次のような条件が付いていることがあります。
- 事前の届出または許可が必要
- 競合他社での就業は禁止
- 本業に支障をきたす場合は不可
- 深夜や長時間の副業は制限
公務員の場合は、法律で兼業が制限されています。原則として営利企業への従事には制限があるため、事前に所属先の規定を確認してください。
禁止されているのに黙って始めて発覚すると、本業の側で処分を受ける可能性があります。本業を失うリスクを取ってまでやることではありません。
届出制なら、正直に出すのが最も安全です。多くの場合、本業に支障がなければ認められます。隠して働くストレスと、発覚した時のリスクを考えれば、届け出るほうが合理的です。
会社に知られる仕組み
「副業がバレる」経路として最も多いのが住民税です。仕組みを理解しておいてください。
住民税は前年の所得をもとに計算されます。会社員の場合、勤務先が給与から天引きして納める特別徴収が一般的です。副業で所得が増えると、その分も含めた住民税額が勤務先に通知されるため、給与額に見合わない住民税額から副業の存在が推測されることがあります。
対策として、確定申告の際に、給与以外の所得にかかる住民税を自分で納付する(普通徴収)を選択できる場合があります。ただし、自治体によって取扱いが異なるため、確実性を求めるならお住まいの市区町村に確認してください。
なお、他の経路(同僚に見られる、SNSに投稿する)で知られるケースもあります。住民税だけの問題ではありません。
20万円ルールの正確な意味
「副業の所得が20万円以下なら申告不要」という話を聞いたことがあると思います。これは正確ではありません。
正しくは、給与所得者で、給与以外の所得が20万円以下の場合、所得税の確定申告が不要とされる場合がある、というものです。要件があるため、自分が該当するかは確認が必要です。
そして重要な点があります。所得税の申告が不要でも、住民税の申告は必要です。ここを誤解して何もしないと、住民税の申告漏れになります。
また、「所得」は売上ではありません。売上から経費を引いた金額です。軽貨物では燃料代や車両費が経費になるため、売上が30万円でも所得が20万円以下になることはあり得ます。逆に、経費を記録していなければ、売上がそのまま所得とみなされかねません。
申告が必要かどうかを判断するためにも、売上と経費の記録は必要です。副業だから適当でいい、ということはありません。レシートは保管し、売上は月ごとに集計してください。
黒ナンバーと開業届はどうするか
副業であっても、報酬を得て他人の荷物を運ぶなら、貨物軽自動車運送事業の届出と黒ナンバーが必要です。副業だから不要ということはありません。
ただし、会社に所属して会社の車両で稼働する形なら、事業者としての届出は会社側が行っているケースがあります。契約形態によって変わるため、応募時に確認してください。
開業届についても、継続的に事業として行うなら提出の対象になります。青色申告を使いたいなら、承認申請の期限にも注意が必要です。
体力の限界を認識する
ここははっきり書きます。本業が週5日あるなら、副業は週1日か2日が限界です。
本業がデスクワークでも、軽貨物は肉体労働です。土日の両方を稼働に充てれば、休みがゼロになります。これを1ヶ月続けると、本業のパフォーマンスが落ちます。3ヶ月続けると、体を壊します。
そして最も危険なのは、疲労した状態での運転です。睡眠不足で事故を起こせば、副業の収入どころではありません。
副業として軽貨物をやるなら、週1日、多くても週2日。そして完全な休養日を週1日は確保する。この線を守ってください。
副業から本業へ移る場合
副業として始めて、収入が安定してきたら本業に切り替えるという道もあります。実際にこの流れで独立する人は少なくありません。
この場合の利点は大きい。仕事の実態を知ったうえで判断できる、収入の見込みが立つ、取引先との関係ができている。いきなり退職して始めるより、リスクがはるかに小さい。
ただし、切り替えるタイミングでは、会社員でなくなることによる変化(社会保険、住宅ローンの審査、社会的信用)も考慮してください。会社員のうちにできる手続きは、在職中に済ませておくのが賢明です。
制度や税制は変わることがあります。申告の要否や手続きについては、国税庁の情報を確認するか、税務署に相談してください。