届出で書く3つの場所

貨物軽自動車運送事業の経営届出書には、次の3つの場所を記載します。

  • 営業所 — 事業の拠点となる場所です。書類を保管し、業務の管理を行う場所という位置づけです。
  • 車庫 — 車両を保管する場所です。
  • 休憩・睡眠施設 — ドライバーが休憩や仮眠を取る場所です。

1人で事業を行う個人ドライバーの場合、営業所と休憩施設を自宅とし、車庫を自宅の駐車場または近隣の月極駐車場とするのが一般的な形です。

自宅を営業所にできるか

できます。実際、個人の軽貨物事業者の大半は自宅を営業所として届け出ています。特別な設備は求められません。

ただし、次の点は確認しておく必要があります。

  1. その建物を使う正当な権利があるか。 持ち家なら問題ありません。賃貸なら賃貸借契約の内容を確認します。
  2. 用途地域の制限に触れないか。 住居専用地域では事業用途に制限がある場合があります。個人が自宅で事務作業をする程度で問題になることは通常ありませんが、気になる場合は自治体に確認してください。
  3. 実際にそこで業務の管理をしているか。 届け出た住所と実態が一致していることが前提です。
賃貸に住んでいる人が確認すべきこと

賃貸借契約書に「居住専用」「事業用途の使用を禁ずる」といった条項がある場合があります。トラブルを避けるため、大家さんか管理会社に事前に相談してください。多くの場合、1人で書類を扱う程度なら問題にならず、口頭でも了解が得られます。黙って進めて後から発覚するほうが厄介です。

車庫の考え方

車庫については、いくつか押さえるべき点があります。

  • 営業所からの距離。 営業所から一定の距離内にあることが求められます。具体的な距離の基準は管轄の運輸支局で確認してください。実務上は自宅の駐車場か、徒歩圏の月極駐車場であれば問題になりません。
  • 青空駐車場・月極駐車場でも可。 屋根や建物である必要はありません。舗装されていない土地でも、車両を確実に保管できれば構いません。
  • 使用する権利があること。 自己所有か、賃貸借契約があることが必要です。月極駐車場なら契約書の写しを求められることがあります。
  • 車両が実際に収まるか。 軽バンが問題なく駐車でき、道路に食み出さないことが前提です。

近所の空きスペースに勝手に停める、路上に常時駐車する、といった状態は車庫として認められません。そもそも道路交通法上の問題も生じます。

休憩・睡眠施設

個人ドライバーの場合、自宅がそのまま休憩施設になります。専用の仮眠室を用意する必要はありません。

意味があるのは、長時間の運行を行う場合に休憩を取れる場所が確保されているという考え方です。1人で日帰りの配送を行う個人事業者の場合、自宅で足ります。

3つの場所の関係を整理する

もっとも多い形

営業所=自宅、休憩施設=自宅、車庫=自宅の駐車場。書類上も実態上もシンプルで、変更もほとんど発生しません。

次に多い形

営業所と休憩施設は自宅、車庫だけ近隣の月極駐車場。都市部のマンション住まいではこの形が一般的です。

会社に所属する場合

会社が営業所と車庫を持っているケースがあります。この場合、届出や車庫の確保を自分でやる必要があるのかを事前に確認します。

届出内容と実態がズレるとどうなるか

ここは軽く考えないでください。

引越しをしたのに営業所の住所を変更していない、駐車場を解約して別の場所に停めているのに届け出ていない。こうした状態は、届出制度の趣旨から外れます。監査や確認が入った際に問題になり得ますし、事故が起きた時に保険や責任関係の説明が複雑になります。

変更が生じたら、その都度、管轄の運輸支局へ変更の届出を行ってください。手続き自体は難しいものではありません。放置するほうがコストが高くつきます。

実務で起きやすい3つのケース

相談の多いパターンを挙げます。

  1. マンションに住んでいて、駐車場が別の場所にある。 これは問題ありません。営業所を自宅、車庫を契約している駐車場として届け出ます。駐車場の賃貸借契約書の写しを求められることがあるので、手元に用意しておいてください。
  2. 実家に住んでいて、名義が親になっている。 自分に使用権原があることを示す必要があります。親の承諾を得たうえで、必要に応じて使用承諾書を用意します。家族だから当然に使えるとは限らないので、事前に確認してください。
  3. 寮に住んでいる。 会社の寮の場合、そこを営業所として届け出られるかは会社の方針によります。会社に所属して稼働する形なら、そもそも事業者としての届出は会社側が行っているケースがあります。契約形態と合わせて確認してください。

引越しをした時にやること

営業所と車庫の住所は、届出の内容そのものです。引越しをすれば、当然この情報が変わります。

やるべきことは3つあります。管轄の運輸支局へ変更の届出をすること。車検証の使用者の住所変更手続きを行うこと。そして、任意保険と貨物保険の契約住所を変更することです。

特に忘れられやすいのが保険です。住所が古いままだと、事故の際の連絡や書類の送付で支障が出ることがあります。引越しの手続きリストに入れておいてください。

なお、都道府県をまたぐ引越しでは管轄の運輸支局が変わります。手続きの流れが変わるため、移転前に転出元と転入先の両方に確認しておくと確実です。

迷ったら電話で聞く

営業所や車庫の要件は、法令の考え方は共通していても、確認の運用や求められる添付書類が管轄で異なります。ネットの情報だけで判断せず、自分の管轄の運輸支局に電話で確認するのが最も確実です。

聞くべきことは3つです。「自宅を営業所にできるか」「車庫は月極駐車場でよいか、契約書の写しは必要か」「賃貸物件の場合に大家さんの承諾書が必要か」。この3点を押さえておけば、窓口で止まることはまずありません。

制度や運用は変わることがあるため、実際の手続き時には運輸局・運輸支局の最新情報を確認してください。