カタログ燃費は仕事では出ない

軽バンのカタログ燃費は、荷物を積まず、エアコンを止め、一定速度で走った条件の数値です。実際の配送では荷物を100kg以上積み、エアコンをつけ、数十メートルごとに停車と発進を繰り返します。カタログの半分近くまで落ちることも普通です。

だから「思ったより燃費が悪い」と落ち込む必要はありません。問題は、同じ車で同じ案件を回っているのに、人によって燃料代が月1万円以上違うことです。その差は車ではなく、運転と管理から生まれます。

燃費を落としている5つの原因

  1. 急加速。 燃料を最も食うのは、止まっている車を動かし始める瞬間です。宅配は1日に何百回も発進します。1回ごとの差が小さくても、300回積み重なれば大きな金額になります。
  2. 無駄なアイドリング。 配達の間、エンジンをかけっぱなしにしていませんか。1回3分でも、1日30件なら90分です。夏場のエアコンのために必要な場面もありますが、無自覚な放置は削れます。
  3. タイヤの空気圧不足。 これが最も見落とされています。空気圧が下がったタイヤは転がり抵抗が増え、燃費が確実に悪化します。しかも偏摩耗が進み、タイヤの寿命まで縮みます。月に1回は必ず確認してください。
  4. 不要な荷物の積みっぱなし。 使っていない台車、返品で戻ってきたまま降ろしていない荷物、車内に溜まった道具。重さはそのまま燃料代です。
  5. エアコンの使い方。 真夏に使うなという話ではありません。車内が高温になっている時は、まず窓を開けて熱気を逃がしてから冷房を入れる。これだけでコンプレッサーの負荷が変わります。
いちばん効くのは空気圧

運転の癖を変えるのには時間がかかります。しかし空気圧は、ガソリンスタンドで3分あれば直せます。もし1ヶ月以上見ていないなら、今日確認してください。この記事の中で最も費用対効果の高いアクションです。

荷物を積んだ状態を前提に運転する

軽バンに荷物を満載すると、加速も制動も明らかに鈍くなります。空車の感覚のまま運転すると、加速しようとしてアクセルを踏み込みすぎ、止まろうとして強くブレーキを踏むことになります。これが燃費を悪化させます。

やるべきことは単純です。早めにアクセルを緩め、エンジンブレーキを使いながら減速する。前の車との距離を空けて、赤信号が見えたら惰性で近づく。急な操作をしないだけで、燃料の消費は目に見えて変わります。

燃費のいい運転は、安全運転そのものだ

ここははっきり言います。燃費を良くする運転と、事故を起こさない運転は、別々の技術ではありません。まったく同じものです。

急加速をしない、車間距離を取る、早めに減速する、無理な追い越しをしない。燃費のために推奨されるこれらの行動は、そのまま追突事故と巻き込み事故を防ぐ行動です。「安全運転をすると稼げない」という考えは間違いで、安全運転は燃料代を下げて、事故による損失も防ぎます。得しかありません。

給油の考え方

半分を切ったら入れる

ギリギリまで粘るのは危険です。燃料切れは配達の中断に直結します。半分を切ったら、その日のうちに給油する習慣にしてください。

スタンドは固定する

給油カードやアプリの割引は、同じ系列を使い続けるほど効きます。1リットル数円の差でも、月200リットル給油するなら年間で数千円から1万円の差になります。

安いスタンドを探しに走らない

数円安い店まで10km走れば、割引分は消えます。ルート上か、営業所の近くにある店を1つ決めてしまうのが正解です。

事業用のガソリンカードや給油アプリは、明細が自動で残るという副次的な利点があります。レシートを紛失して経費を計上し損ねる事故が減るので、経理の手間まで下がります。

「リッター単価」ではなく「1件あたり燃料費」で見る

多くのドライバーは、ガソリンの価格が上がった下がったで一喜一憂します。しかし判断に使うべき数字はそこではありません。

見るべきは、1日の燃料代を配達件数で割った「1件あたりの燃料費」です。この数字が分かると、案件の良し悪しが正確に判断できるようになります。

例えば、1日100件回って燃料代が2,000円なら、1件20円です。一方、単価が高く見えるスポット案件で、1日5件しか回れず燃料代が3,000円なら、1件600円です。単価が3倍でも、燃料費が30倍かかっていれば結論は変わります。

この数字を毎日メモするだけで、「稼げる案件」の見え方が変わります。売上の大きさではなく、燃料と時間を差し引いた後の残りで判断できるようになるからです。

記録の付け方は簡単でいい

給油のたびに、日付・金額・給油量・走行距離をメモするだけです。スマホのメモアプリで十分です。これを3ヶ月続ければ、自分の実燃費と、案件ごとの燃料効率が数字で見えます。

月1万円下げるための現実的な順番

  1. 今日:タイヤの空気圧を適正値に戻す。車内の不要な荷物を全部降ろす。
  2. 今週:給油スタンドを1つに決め、カードかアプリを登録する。給油記録をつけ始める。
  3. 今月:発進時のアクセルの踏み方を意識する。信号の手前で早めにアクセルを離す。
  4. 来月:1件あたり燃料費を計算し、燃料効率の悪い案件を洗い出す。

これを全部やれば、月1万円前後は動きます。しかも走る距離を増やしていないので、体は一切余分に使っていません。

燃料代の管理は地味です。ただ軽貨物は、地味なことを続けた人が最後に手元にお金を残す仕事です。派手な単価の話より、まず空気圧を見てください。