2つの形の違い

軽貨物で働く形には、大きく2つあります。

フランチャイズ加盟

本部のブランドと仕組みを使う代わりに、加盟金とロイヤリティを払います。案件の紹介、研修、車両手配などをパッケージで受けられます。

直接業務委託

運送会社や元請けと直接契約し、案件を受けます。加盟金やロイヤリティはなく、報酬から差し引かれるのは実費が中心です。

中間的な形

会社に所属し、車両リースや保険を会社経由で契約する形。ロイヤリティという名目はないが、控除項目は複数あります。

費用構造を並べて比べる

フランチャイズで発生し得る費用を挙げます。名称は本部によって異なります。

  • 加盟金 — 契約時に一度だけ。数十万円になることもあります。
  • ロイヤリティ — 毎月。定額の場合と、売上の一定割合の場合があります。
  • システム利用料 — 配車システムや管理アプリの使用料として毎月。
  • 研修費 — 初期研修の費用。加盟金に含まれる場合もあります。
  • 車両リース料 — 本部指定のリース会社との契約になることが多い。
  • 保険料 — 本部が斡旋する保険に加入する形が一般的です。

一方、直接業務委託では、車両リース料と保険料はあっても、加盟金・ロイヤリティ・システム利用料は原則としてありません。

ロイヤリティが手取りに与える影響

数字で見ます。売上が月50万円のドライバーを例にします。

ロイヤリティが月3万円なら、年間36万円です。月5万円なら年間60万円。仮に売上の10%という設定なら、月5万円で年間60万円になります。

この60万円は、車を1台買える金額です。3年続ければ180万円。この支出に見合うだけの価値を本部から受け取れているかどうか。それが唯一の判断基準です。

払う価値がある場合もある

案件をゼロから探す苦労、研修の質、トラブル時のサポート、繁忙期の仕事量の安定。これらが実際に提供されているなら、ロイヤリティは無駄な出費ではありません。問題は、名目だけ取って中身がない場合です。

本当に危険なのは「抜けられない構造」

フランチャイズそのものが悪いのではありません。危ないのは、加盟契約と車両リースが一体になっていて、辞めたくても辞められない構造です。

具体的にはこうです。加盟時に本部指定のリース会社と5年契約を結ぶ。仕事が合わずに1年で辞めたいと思っても、リースの残債が数十万円から百万円単位で残っている。加盟契約を解除するには中途解約金も必要。結果として、辞めるために大金を払うか、条件が悪くても続けるかの二択になります。

この状態に陥ると、単価の交渉力も、案件を選ぶ自由もなくなります。事業者として自立するために独立したはずが、より強く縛られる。これが最悪のパターンです。

契約前に必ず確認する4項目

  1. 中途解約金はいくらか。 「解約する場合、いくら払うことになりますか」と直接聞いてください。答えを濁す、口頭で「実質かからない」と言うだけで書面に書かない相手は避けるべきです。
  2. 車両リースの契約期間と残債の計算方法。 誰と契約するのか(本部か、別のリース会社か)、途中でやめた場合に残債がいくらになるのかを、契約書の条文で確認します。
  3. 専属義務があるか。 他社の案件を受けてはいけないという条項があると、収入源を分散できません。1社依存が契約で強制される形になります。
  4. 最低稼働日数の定めがあるか。 病気や家庭の事情で稼働が落ちた場合にペナルティがあるのか。あるなら金額はいくらか。

危ない勧誘の見分け方

次のいずれかに当てはまったら、その場では契約しないでください。持ち帰って、家族か第三者に見せてください。

  • その場でのサインを求めてくる。 「今日決めれば加盟金が半額」といった急かし方は、考える時間を与えないための手法です。
  • 収入例が売上か手取りか明示されていない。 「月収60万円可能」とだけ書いて、ロイヤリティと経費を引いた後の数字を示さない説明は不誠実です。
  • 契約書を事前に見せてくれない。 契約書は当日渡しではなく、事前に読ませてもらうのが当然です。拒む理由がありません。
  • 成功したドライバーの話しかしない。 辞めた人が何割いるか、辞めた理由は何かを聞いてください。答えられない、あるいは「ほぼいない」と即答する相手は疑うべきです。
  • ロイヤリティの対価が説明できない。 「そういう仕組みなので」以上の説明が出てこないなら、実態は仲介手数料です。
取引条件は書面で確認できるのが原則

フリーランス法では、発注する事業者に取引条件を書面等で明示することが求められています。報酬の額、支払期日、業務の内容が書面で示されない状態は、正常ではありません。口頭の説明だけで契約する必要はまったくありません。

結論:どちらを選ぶか

未経験でこれから始めるなら、まずは直接業務委託か、加盟金のない会社所属の形を勧めます。理由は単純で、続けられるかどうかが分からない段階で、抜けにくい長期契約を結ぶ合理性がないからです。

フランチャイズを選ぶ価値があるのは、次の条件を満たす場合です。ロイヤリティに見合う具体的な支援内容が説明でき、中途解約の条件が明確で、車両リースが加盟契約と切り離せる。この3つが揃っているなら、検討する価値があります。

判断に迷ったら、契約書を持ち帰ってください。まともな相手なら、それを拒みません。拒む相手なら、答えは出ています。