荷物量は一年中同じではない

軽貨物の収入は荷物の量に連動します。そして荷物の量は、季節によってはっきり変わります。ここを知らずに始めると、最初の閑散期に「自分の腕が落ちたのか」と焦り、間違った判断をします。腕は落ちていません。世の中の荷物が減っているだけです。

荷物が増える時期

  • 11月下旬から12月: 一年で最も忙しい時期です。年末商戦、歳暮、クリスマス、帰省前の発送が重なります。この時期に稼働できるかどうかで年収がはっきり変わります。
  • 3月: 引越しシーズンと年度末が重なり、企業配も個人宅も動きます。
  • 7月上旬: 中元の時期です。12月ほどではありませんが、明確に増えます。
  • 大型セールの期間: 通販サイトの大型セールに合わせて、数日間だけ荷物が跳ね上がります。日程は事前に分かるので、稼働を寄せる価値があります。

荷物が減る時期

  • 1月中旬から2月: 年末の反動で最も静かになります。加えて雪や寒波で稼働できない日も出ます。多くのドライバーが年間で最も苦しむ時期です。
  • 6月: 大きなイベントがなく、梅雨で外出も減ります。荷物量が落ち着きます。
  • 8月中旬: 世の中がお盆で止まります。企業配は特に減ります。
年収は月収×12ではない

繁忙期に売上70万円だったからといって、年収840万円にはなりません。閑散期が45万円まで落ちるなら、年間の平均は55万円前後です。差はおよそ180万円。この差を見誤ることが、軽貨物で資金繰りを崩す最大の原因です。

閑散期は「損する月」ではなく「整える月」だ

閑散期に売上が落ちるのは避けられません。ならば、その時期にしかできないことを寄せるのが正しい使い方です。

  1. 車検と整備をここに入れる。 繁忙期に車を預けると、その日の売上がまるごと消えます。整備は荷物の少ない時期に済ませてください。これだけで年間の機会損失が変わります。
  2. 体を治す。 腰や膝に不安があるなら、無理が効かなくなる前に整形外科へ行く。繁忙期に倒れるより、閑散期に休むほうが圧倒的に安い。
  3. 案件を開拓する。 荷物が少ない時期は、他の元請けや荷主と話す時間が取れる時期でもあります。次の繁忙期までに選択肢を増やしておきます。
  4. 帳簿を整える。 1月から2月は確定申告の準備期間と重なります。荷物が少ないこの時期に帳簿を締めれば、繁忙期に慌てずに済みます。

波を埋める3つの手

企業配を土台にする

企業間の配送は個人宅の通販ほど季節変動しません。売上の一部を企業配で固めておくと、閑散期の落ち込みが浅くなります。

案件を複数持つ

1社の荷物が減った時に、別の案件で埋められる状態を作ります。繁忙期に慌てて探すのではなく、忙しい時期から種をまいておきます。

繁忙期に貯める

12月の売上をそのまま使い切らない。増えた分の一部を閑散期用に取り分けておくだけで、2月の資金繰りはまったく違うものになります。

年間キャッシュフロー表を1枚作る

やることは単純です。表計算ソフトで、縦に月、横に「売上見込み」「経費」「税金・国保・年金」「手元残高」の列を作ります。売上見込みは、繁忙期を強気に、閑散期を弱気に入れてください。

これを作ると、恐ろしいことに気づきます。閑散期の2月に、前年分の確定申告の納税と、車検の費用が重なるパターンがあるのです。売上が最も低い月に、支払いが最も大きく来る。この構造を先に見つけておけば、12月の売上から準備しておけます。見つけずにその月を迎えると、資金が回りません。

1年目は実績データがないので予測が難しいですが、1年分の実績が溜まれば、翌年の表は驚くほど正確になります。だからこそ、1年目から月ごとの売上と経費を記録しておく価値があります。

閑散期に絶対にやってはいけないこと

売上が落ちた月に、慌てて高額な車両に乗り換えたり、条件を確認しないまま単価の高そうな案件に飛びついたりすること。判断力が落ちている時期の大きな決断は、ほぼ確実に裏目に出ます。動くなら繁忙期の、余裕がある時期にしてください。

1週間の中にも波がある

季節だけでなく、曜日によっても荷物量は変わります。ここを把握しておくと、稼働日の組み方が変わります。

通販の宅配では、週の前半に荷物が集中する傾向があります。週末に注文されたものが、月曜から火曜にかけて配送されるためです。逆に、週の後半は落ち着くことがあります。

企業配は正反対です。土日祝は企業が休みのため、稼働そのものがありません。平日に集中します。

つまり、宅配と企業配を組み合わせている人は、平日に企業配、土日に宅配という配分ができます。休みを取るなら、荷物が少ない曜日に合わせるほうが、失う売上が小さくなります。

自分の担当エリアの曜日別の件数を1ヶ月記録してください。傾向が見えたら、休む曜日と全力で稼働する曜日を決められます。

閑散期に収入を落とさない実務

荷物が減った時、具体的に何をするか。行動レベルで挙げます。

  1. 担当エリアを広げられないか相談する。 件数が減っている時期は、他のドライバーの分も回せる余裕があります。エリアの拡大を申し出れば、件数を維持できることがあります。
  2. スポット案件を受ける。 引越しの手伝い、イベント配送、緊急便。閑散期でも単発の需要はあります。
  3. 企業配の新規開拓に動く。 時間があるからこそできることです。次の繁忙期までに取引先を1社増やせれば、翌年の閑散期はもっと楽になります。
  4. 稼働日を減らして固定費を見直す。 走らない日を作るなら、その日に保険の見積もりを取り直す、リースの条件を比較するといった作業を入れます。

繁忙期の稼ぎ方にも注意がいる

12月は稼ぎ時ですが、同時に最も事故と体調不良が起きる時期です。荷物が多く、日が短く、道は混み、気持ちは焦ります。ここで事故を起こすと、稼いだ分を修理と保険料の上昇で失うだけでなく、翌年の案件まで失いかねません。

繁忙期に大事なのは、限界まで詰め込むことではなく、最後の日まで走り切れるペース配分です。年収を決めるのは12月の1日の最高記録ではなく、12月を無事故で走り抜けられたかどうかです。

なお、報酬の締め日と支払日は取引条件として明示されるべき事項です。繁忙期に働いた分がいつ入金されるのかを把握しておかないと、忙しかった月ほど手元が苦しいという逆転が起きます。